フジッコ株式会社『リッチモ』の話を聞きました
最近ヨーグルト、でかくないですか? スーパーでちらちら視界に入ってきて、あるなあ、あるなあ、でかいなあ、でかいなあ、とは思ってたんですけど、SNSでも目にし始めまして。認めましょう。ヨーグルトがでかい。例えば『リッチモ』ってあるな、と食べてみました。
1000円超えてくるヨーグルトなので期待しながら食べてみたら…「ソ、ソフトクリームみたい…!」とびっくりしまして。なんかすごいことになってますね。
これ、一体どういうことなのか神戸にあるフジッコ本社に聞きに行ったんですよ。と、つくった人の話を聞いた記事が『ジモコロ』(地元と仕事をテーマにしたWEBメディアですね)に出ました!
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今日はそのご紹介とこぼれ話をちょこっと書きます。
聞いた人:大北栄人
フジッコのヨーグルト・デザート事業部の敷田加寿美さん
という敷田さんに話を聞いた詳細は記事の方で読んでもらってここでは概要を私、大北が語ります。
この記事すごいおもしろい展開たどるんです。
そもそも発端からソフトクリームみたいな味に驚いてましたよね。えっ、ヨーグルトって今こんなことになってるの!?っていう。それがもう敷田さんらの狙いどおりだったんですよ。そこに驚いてもらえるように作ってたというんです。
フジッコのリッチモ。スーパーの冷蔵コーナーに
私も思ってましたよ、ソフトクリームっぽいのはたぶん生クリームが入ってるからだろうなと。パッケージにも書いてますからね。リッチモは8%の乳脂肪分なんですよ。ふつうの牛乳で4%とかでソフトクリームは9%とかなんですよね。
ほほほう、このリッチさは生クリームじゃろうな。と思ってたんです。リッチモの名前の「リッチ」部分ですよね。
でもリッチモの由来はもう一つあったんですよ。「リッチ」と「もっちり」なんですよ。うっかりしてましたよね。こういうこと、シブがき隊でもあったんですよ。渋いガキたちのグループなんだろうなと思ってたら…タンニンを多く含んだ渋柿のことだったりしたんですよ…。
知らんがな、とお思いでしょうけど、実は私が見落としてたこの「もっちり」部分が大きかったんです。このリッチモはとにかく食感にこだわった、っていうんですよね。
このもっちり感は見た目にも現れるんです。「ソフトクリームみたい!」っていうのもパウチから出てきた時に盛り上がる感じを目指したんだそうです。口の栓の太さがポイントだそうで。これが細くても太すぎてもいけないんだと。もっちりしてておもしろいなあ~ソフトクリームみたいな感じあるなあ~というのはきっちり型にはめられてるんですよね。
逆さにしても落ちないもったりした感じ
パウチというのも、毎食後にデザートとしてちょっぴりずつ食べるのに便利でした。取り出し用のスプーン要らないんですよね。だからパウチ流行ってるんですね。
で、この「もっちり」(正式には「とろぉ~もっち」という「自分にはわからないけどなにか相当なこだわりがあるんだな…!!」と感じさせる食感表記ですが)なんですけど、ヨーグルトに食感そんな大事? って最初は思ってたんです。
でも考えてみればギリシャヨーグルトはそうですよね。ズシッ、ミシッっていう。あれもリッチですよね。敷田さんらはあの方向もやってみたそうなんですが、それだと重すぎて「あんまりたくさんは食べられないね」ということになったんですって。
ってことは軽さ? えっ、ヨーグルトに軽さ?? というとこなんですけど、そうなんです、空気が含まれたような軽さを感じるそうなんです(実際には水分のようですが)。へえー、ヨーグルトにも軽さってあるんですねえ~。
そしてこの「もっちり」というのはどうやら『リッチモ』の元となってる「カスピ海ヨーグルト」というのの特徴でもあるそうなんです。
プレーンの「カスピ海ヨーグルト」もとろっと感あります
この「カスピ海ヨーグルト」というのがおもしろくて、「ああ、なんかあるよね」じゃないですか。「あれフジッコさんなんすね」って。「カスピ海ヨーグルト」ってよく聞いた気がするけどなんだったの? って。気づいたらスーパーに紛れ込んでて、なんかブームが定着したのかな? って感じの認識でしたよね。
書いてます
でもね、神戸の本社まで行って気づいたんですけど、なんかやたら書いてるんですよ。「カスピ海ヨーグルト」って。神戸駅でも看板見た気がするし、本社に行ったら特攻服の左肩みたいなとこに「カスピ海ヨーグルト」って書いてるんですよ。右肩に「お豆さん」って書いてないのに!
全く求められてないですけど特攻服をAIで生成してみました
なんかめちゃめちゃ本気なんですよ! え、そんなおおごとなの? っていう。
ところで『リッチモ』のおすすめの食べ方も聞いてみたんです。やっぱりフルーツに入れるとかいいよっていう話で、まさにそうなんですよ。私もイチゴにちょこっとかけたものを食後に食べてました。めっちゃいいですよ。ソフトクリームを毎食後ちょこっとずつ食べれないでしょ。でもリッチモならいけるんですよ。
ちなみに敷田さんはどんな風に食べるんですか? と聞いてみたんです。
フルーツにかける、たしかに
ヨーグルトにココナッツサブレを一夜漬けするのがSNSで話題になりました。AI生成のイメージ図です
いや、それはおいしいでしょうなあ、と思うと同時に違和感ないですか? 敷田さん「そのままが一番好き」って言い切ってるじゃないですか。え、ヨーグルトそのまま食べるのってけっこう硬派じゃないですか? という。
でもね、この『リッチモ』が美味しく作られているのも、そのまま食べて美味しいものを目指したかららしいんですよ! えーっ!? じゃないですか?? 世の中そんなにストイックなの!? って。
いやでもこれはですね、ヨーグルト側からしたら「君、なにしに来たの?」っていう話なんですよ。そうなんですよ、ヨーグルトって売り場で見るものは全員なんか書いてますよね。アルファベットで菌の名前書いてますよね。ヨーグルト売り場は健康ハードコアな場所なんですよ。食品なのに薬効みたいなものを求めてるんですよ。
うわ、そうか、これがヨーグルトか! とあらためてその世界に驚きまして。暴走族のお兄さんかっこいいなーと思ってた不良中学生がその暴力に震え上がる、みたいな、うわ、本気の健康だ! みたいな。
クレモリス菌FC株というそうです
で、色んな企業がうちはLBなんとかだ、とか菌の名前を書くなかで、フジッコもあります、「クレモリス菌FC株」というこれが「カスピ海ヨーグルト」なんです。この出自がばりばりおもしろくて、詳しくはジモコロの記事本編いってもらったらいいんですけど、家森幸男さんって健康を追い求めた研究者がいるんですよ。
家森幸男さんの本の中には「健康のためなら死んでもいい」っていうなかやまきんに君みたいなこと書いてたりおもしろい人なんですけど、京大の名誉教授だったりちゃんとした研究者でもあって、WHOに健康の研究したいから世界の長寿の地域をめぐらせてくれってお願いしにいったんですって。
そしたら「そんなお金ないよ、君ら日本の人のほうがお金持ちでしょ、寄付してよ」って言われたのだと。しょうがないから一億集めてWHOに寄付してそれで世界を研究しに行ったんだそうです。なにそれ!
長寿を求めて世界を旅しに行くから金くれ、っていうの、ほんと「不老不死の薬探してくるから金くれ」って始皇帝に言って船を出した徐福伝説みたいじゃないですか?(同意求めてますけどすいません、ここは伝わってる自信ないです)
始皇帝の不老不死の薬を探しに行った徐福伝説の絵
世界には長寿と言われてる地域がいくつかあるんですって。日本の沖縄とかイタリアのサルディーニャ島とか。沖縄の人ってブラジルにたくさん移り住んだじゃないですか。在ブラジルの沖縄移民の方の健康状態を調べたらそんなによくなかったので、これはやっぱり環境とか食べるもののせいなんだろうね、ということを家森さんは書いてるんですけども。
その世界の長寿地域の一つに今のジョージアという国がありまして、家森さんがそこ訪れたら100歳超えた人らがたくさん迎えてくれるんですって。寝たきりとかでもないんですよ。「おれはな、いろんなやつに相談されるから忙しいんだ」とか言ってくるそうなんです。やばっ。元気な100歳軍団やばいですよね。
健康の秘訣は昼から赤ワイン飲むことさ、とか言って、なんじゃこりゃとか思う家森さんですがどうやら調べてみるとここの人たち、朝晩にヨーグルト飲んでるぞと。しかもどんぶり一杯ずつ飲んどると。なんか家森さんらは腹壊したようなものでもこの人らは平気だし、これやな、と持って帰って調査してみると免疫物質がバンバン生まれてたそうなんですね。
敷田さんがしてくれたのはもっとまじめなお話でしたが、後で家森幸男さんの本を読んでその健康っぷりに私は震え上がったのでした
そこからカスピ海ヨーグルトブームが始まります。2000年代に産めよ増やせよ、みたいな感じでヨーグルト増やせよヨーグルト増やせ言ってましたよね。あれは家森さんが持ち帰ってきたものをフジッコが家で増やせるように粉末にしたからなんだそうです。
これが当時の培養するためのセットだったそうで、ガチ研究用みたいな見た目です
これがほんとに00年代にブームになって、全国に一大ブーム。デパートでカスピ海ヨーグルトを売るってなったら行列ができたそうなんですよね。ヨーグルトに人が並ぶ時代ですよ。旧ソ連の末期を私たちは笑ってはいられませんよ。
そんな「カスピ海ヨーグルト」が今、『リッチモ』となってまた日本を騒がせているという。「クレモリス菌FC株は何度も蘇り我々の前に現れる!」ですよね。
これがこれに!
とはいってもヨーグルトの開発って難しそうですよね。クリーム入れる、とかはわかるんですけど、「もっちり」とかさせるのはもう菌とか発酵の話らしいんですよ。すごい大変なんですって。
大豆版も出た。種菌も未だに売っている
『まるごとSOYカスピ海ヨーグルト』次はこれです!
ということでもう一つの『まるごとSOYカスピ海ヨーグルト』も聞いてきたんです。これがぼんやりした名前とは違って、思ったよりインパクトあったんです。
というのは私、大阪の実家に帰省してから取材に行ったんですけど、実家の母が「あんた私フジッコのファンなんよ」といってこのヨーグルト出してきたんですよ。
実家にて撮影
そんでよく見たら酒粕入れてるんですよ、えっ!? なんなん!? 聞いてみたらいろんなヨーグルト試したけど、これにしか合わんっていうんですって。謎すぎる! ヨーグルトもそうですが、母も謎すぎる! という記事につづきます。
『リッチモ』ジモコロでの記事本編はこちら
取材協力:フジッコ株式会社
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